第4回 『沈黙を聴く』
1999.01.24
その7年後、環境人間学部に移ることになったわたくしは、御報告とお礼のため、昨3月岡田といっしょに福田先生をお昼食会にお誘いしました。それが先生とのお別れになりました。
福田先生、もう2度と先生にお会いできないと思うと、やっぱり淋しさを禁じ得ません。
でも、お楽になられましたか?
「安気」ですか?
もうリハビリもしなくてよくなりましたね。
そこで、今回は代わりに、エヌゼルが大変尊敬したズンデルという人をご紹介することにしました。
重い病で身体の自由を奪われた 彼の友人によれば、ズンデルは彼を訪ねても、神のことは何も語らなかったそうです。しかし、ズンデルが部屋に入ってくる時、友人は深い喜びと言いようの無い優しさで包まれるのを感じました。
ズンデルには不思議な共感の力がありました。かれは相手の苦しみを自分のものにし、その人の重荷をみずから背負って軽くし、あの深い喜びで相手の心を明るくしました。
エヌゼルも言っています:「他人の苦悩の真っ只中に入り込んでしまうと、自分もまた必ず傷を負うことになる」
― 辛い打ち明け話をきいたとき、わたくしたちは、自分も苦しくなりませんか?
一生懸命聞けば聞くほど。ズンデルのような作業を行なえる人はそう多くありません。
この言葉を見た時、栄眞は、自分が今までどれほど自分相手に愚かな騒ぎを起こしてきたかと言うことに気付き、恥じました。自分が自分相手に騒ぎを起こせば、心の奥底のささやきは聞こえない。
聴くこと!
何よりも貴い、何よりも稀な、
しかし何よりも必要な行為。
いのちの深淵をあかしてくれるのは、
ただ沈黙だけである。
(ズンデル)
今夜は静かに心のささやきを聴いてみることにしましょう。神の調べが聞こえるそうですよ。