2004.09.14更新

日本感性工学会 JSKE 第6回研究大会

2004年9月9-11日

工学院大学新宿キャンパス


感性哲学部会員の発表を中心にご報告します

第1日目 9月9日

千代章一郎さん(広島大学) 日本感性工学会出版賞受賞!おめでとうございます

  『ル・コルビュジエの宗教建築と「建築的景観」の生成』中央公論美術出版

  『感性哲学』4に加藤泰史さんの書評があります

秋澤光さん(中央大学)「事業創出における営利性と非営利性の今日的意味」秋澤光さん

     非営利というのは企業のミッションとは逆の概念であると思われるが

     今日の非営利活動を観察することによって新しい事業体の姿が見える

    という秋澤さんのご発表を伺って、地域通貨活動にも密接な関連が感じられました

懇親会


第2日目 9月10日

対談「先進感性企業」

東英弥さん(宣伝会議代表取締役)vs 清水義雄さん(信州大学)+桑子敏雄さん(東京工大,感性哲学部会)

司会 田中理沙さん(『宣伝会議』編集長)

 宣伝会議本社社屋の前にあるの話が印象的でした

 地面競売のために伐採された樹齢300年の楠をみて感じたところのあった東さんは、

 ←土地を手に入れ樹の再生にり組んだ。

楠の神社

 樹の根元には神社パネルを立てた。これで樹はもう伐られない!→

 楠がよみがえったとき熊野のから宮司さんが来てくれて、今も大切にお守りしている






感性哲学部会運営委員会/編集委員会

◎第6回感性哲学部会研究発表会(素案)

日時 ◎2005年3月30-31日水−木(確定)【予定表にしっかり書いてください!】

場所 東京(折衝中) 感性をみがくツアー:神楽坂界隈

◆今回から、原則として、『感性哲学』投稿予定者は部会研究会の前に
 フルペーパ(400字詰め30枚以内)を提出する

『感性哲学5』の特集テーマ(案):「コミュニケーションと感性」「表現と感性」(あらわす、つたえる)


感性哲学シンポジウム 15.00-16.30

桑子敏雄さん 巻頭言

清水正之さん(東京理大)「人と人をつなぐこと―感性哲学からみた土田杏村の華厳経・大乗理解を例として」

  「仏教は「自分と他人をどうつないでゆくか?」を内部にもっていた。

  AはBである。といった途端にAはBではない、を覆い隠すという華厳理解を示した。

  私を離れて公はない、衣食住(生活)を離れて人はないということを哲学的な思索の中に入れてゆくのかを書きました。」

  桑子さん:感動、感謝も感性。感性にはレベルがあるのでしょうか?という質問を受けた。

        華厳経は修行階梯を示しているが。

関礼子さん(立教大) 「川の生活と病−記憶の解放と共同性の再構築」

  公害問題は人々の豊かさを消し去る形でしか語られなかった。負の記憶は川の過去を語る、ということには不可欠。

  しかし負の記憶は消し去ろうという力が働く。そうではない別の生活の語り方はできないのかという問題意識をもった

  2つの語り方を、動詞を拾うことによって調べた。運ぶ、清める、流すetc

根津知佳子さん(三重大) 「音楽的場と「臨床の知」

  初参加です。音楽的な(トポス)について書いた。。

  切り離された空間で芸術作品を再現するという音楽活動とは違う、音楽がある

  阪神大震災で歌われた「ふるさと」のようなものをどう伝えるか。「臨床の知」ということばに出会って救われるものがあった

千代章一郎さん(広島大学)「歴史的環境の現場における子供の感性」

  時間性がテーマになっている。

  現の声をひろう(そのときは児童ではなく「子ども」という)事、マップをつくるによって歴史的な場をとらえる

  環境というものと対話を行うことによって表現されるもの

川上千里さん(一ツ橋大院) 「「不自然」と「生活の技術」―J.S.ミルにみる倫理規範の作り方」 

  生活の技術


佐々木さん:感性哲学は2足のわらじで、悩みもあるが、

          そういう古典的な取り組みも可能なのかな、という感じがした

桑子さん:足を洗う必要はないだろう。場違いを感じながら、なにが場違いだろうと自己に問いながら行くことに意味がある

         工学的な場のなかに工学的でない発想がまぎれこんだときの「おや、なんか違うんじゃないかな」が大切

         それを温かく受け入れてくれるのがこの学会のよさだろう


第3日目 9月11日

対談「いのちの感性をみつめて」13.00-14.30須磨久善先生

  須磨久善さん(葉山ハートセンター院長) 桑子敏雄さん、岡田真美子JSKE6対談

  「心臓は1日10万回鼓動を打ちます。疲れない筋肉です。しかし2,3分止まっても人は死にます」

   どきどきするような いのちの現場のお話を伺いました。

  特に印象に残ったことば 

    ◆「外科医のしごとは いのちと対話することです」

    ◆感性に関して−「ことばにできなくても、感じることはできます」

    ◆教育に関して− 「現場で本物を見せることが大切です」

    ◆本物の条件とは−「挑戦する人であるということです  須磨久善先生

                  1.何のためにするのか 2.できたらどんないいことがあるのか を明確に知り

  040911JSKE須磨先生と                3.実現のために万全の備えをする  4.1回だめでも後戻りしない」

    ◆コミュニケーションギャップ−
     「ピッチャーが全力で投げてもキャッチャーのミットめがけて放らないとだめ」

    ◆医者になろうと思われたわけは?−
     「人に喜んでもらいたいという望みを実現するのに最もアトラクティヴな道だった」

  須磨先生はすべての判断の基準が「人に喜んでもらえるかどうか」であることに感銘を受けました。                 

上の写真は対談終了後、神戸新聞の桑名記者の取材を受けて、

手術の腕を磨くためティッシュペーパを何千枚も縫う練習をしたと話す須磨先生


【研究発表】16.00-18.30 感性工房部会メンバにも多数ご参加いただきました

座長 千代さん、清水正之さん

千田智子さん(学振,東京芸大)「英国式風景庭園の発展にみる「自然」」

濱町久美子さん(東工大院)「合意形成手法による医療倫理教育プログラムの試み」

柏崎尚也さん他(東京電機大)「非言語による感性情報処理の基本概念について」

岡田真美子(兵庫県大)「JSKE研究まんだら」

和崎宏さん(兵庫県大院)「感性がつなぐ地域ネットワーク−日本型ネットデイを例に」

千代章一郎さん他(広島大)「環境地図アイコンの汎用性」

桑田陽子さん(兵庫県大)他「セラピストとクライエントとの相互感性による共有テンポについて」

【出版】大会会場で感性哲学部会関係の新刊が並び、評判上々でした

 『いのちの倫理学』(2004.10)コロナ社 桑子敏雄編

 『感性哲学4』(2004.09)東信堂

    桑子研究室の高田さん、院生のみなさん、お店番ありがとうございました

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(c)2004 Prof.Dr.OKADA Mamiko