JSPS
人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

岡田のシンポジウム報告

市民の社会を創る−社会提言の試み

日 時:

平成18年3月4日(土)  12:45〜20:00(12:15受付開始)
平成18年3月5日(日)   9:00〜12:30

場 所:

東京グリーンパレス「ばらの間」
(東京都千代田区二番町2番地  東京メトロ麹町駅より徒歩1分)

本事業の趣旨:

 近年、世界的に「市民」「市民社会」「市民活動・運動」に注目が集まりつつある。日本では「ボランティア元年」という言葉を生み出した阪神淡路大震災が、そうした潮流を促進する大きな契機となったといわれるが、もちろん、それ以前からも、それ以外の地域・分野でも、市民・住民の活動は行われてきているし、その重要性は今後さらに高まっていくだろう。
  本シンポジウムでは、まず、そうした市民の活動・運動の具体的な経験を共有しながら、現状を多角的に確認する。そして、その経験を生産的に発展させていくために、現場が抱えている課題(行政や企業との関係、合意形成の難しさ、コミュニティ観をめぐる齟齬や葛藤、人材やリーダーシップのあり方、市民組織そのものの変質化や硬直化、マイノリティの排除など)に注目して議論を交わし、これからの市民の社会に向けた提言を試みる。

<2日目> 平成18年3月5日(日) 9:00〜12:30

9 : 00 〜 9:20 論点整理 宇田川妙子
 9 : 20 〜 11:00 グループ・ディスカッション(1グループ:10〜15人)
論点によるディスカッション・グループ(案)
(1)合意形成の手法
(リソースパーソン:桑子 敏雄、蔵治 光一郎)
(2)コミュニティ・デザイン
(リソースパーソン:中村 陽一、村松 伸)
(3)メディアの役割
(リソースパーソン:佐藤 達哉、松浦 さと子)
※マス・メディア(報道、新聞社記者)の参加を検討

 わたくしはここに参加しました 感想
(4)リスクマネジメント
(リソースパーソン:高 巌、宮本 俊信)
(5)社会的排除の克服
(リソースパーソン:木村 武史、小長谷 有紀)
※ リソースパーソンに各グループの意見を集約してもらう。
11 : 00 〜 11:30 グループ・ディスカッションの結果報告(各グループ)
11 : 30 〜 11:50 コメント
11 : 50 〜 12:20 全体討議
12 : 20 〜 12:30 閉会挨拶 石井紫郎(学振 学術システム研究センター)


プログラム:

<1日目> 平成18年3月4日(土) 12:45〜20:00

12 : 15 〜 12:45 受付
12 : 45 〜 12:50 開会挨拶
12 : 50 〜 13:00 趣旨説明
13 : 00 〜 14:00 (1)新たな市民活動の展開
報告   西山 志保(25分)
コメント  石田 勇治(10分) 道場 親信(15分)
14 : 00 〜 15:00 (2)コミュニティの合意形成
報告   甲斐 徹郎(30分)
コメント  金子 洋二(20分)
15 : 00 〜 16:00 (3)コミュニティ・デザインと協働地域つくり
報告   中村 陽一(30分)
コメント  河村 孝 (20分)
16 : 00 〜 16:15 休憩
16 : 15 〜 17:15 (4)社会的排除の克服
報告   吉富 志津代(FMわいわい)(25分)
コメント  後藤 浩二(スープの会) (15分) 西本 マルドニア(カラカサン)(15分)
17 : 15 〜 18:15 (5)企業と社会・市民
報告   高 巌(30分)
コメント  山本 隆彦(三井物産)(20分)
18 : 15 〜 19:00 仙台シンポジウムのビデオ上映会

  
◆メディアを使いこなすために何が必要?何を伝えるべき?誰が伝えるべき?町はどう変わる?
(松浦さと子さん 龍谷大学)

【キーワード】メディアは「非暴力活動に有効な表現活動」(松浦) 「可視化」
        「メディア・スクラム」(臺 宏士) 「ゲート・キーピング」(サトウ タツヤ)
        「地方紙とNPO」(松浦さんが紹介された上越タイムスが「くびきのNPOセンター」に
         紙面づくりを任せたという事例が面白かったです)

◆わたくしもかねがね「メディア・スクラムの超克」ということを考え続けてきましたが、ルポ・東北の山と森
 臺さんが紹介された 『ルポ・東北の山と森―自然破壊の現場から』という本は
 新しい道を示してくれたように思います。
 この本は「山を考えるジャーナリストの会」というグループが作りました。
 これは毎日、讀賣その他東北の環境保護を巡って取材してきた記者たちの集合体です。
 いつも固まって同じような報道ばかりして、取材集中によって取材を受ける人たちを圧迫する
 メディア集団というイメージを思いがけない方法で破られたのだなと感じました。

◆[感想のおまけ]
  ディスカッションのまとめを伺っていて、あれほど多様に、バラバラとも思えるような議論が
 出ていたようだった(他のグループの話し合いも聞こえてきていたのでついつい聞いていました) のに、こんなふうなきちんとしたアウトプットができるのだなと感心しました。

 同時にわたくしはいつも語る人ひとりひとりに耳を傾けすぎであると感じました。
 うまいまとめ、充実したアウトプットをだすためには、まとめ役である発信者の胸のなかに
 ストーリーがあることも必要であるようです。
 そこへ意見を集約するという辣腕には憧れを感じます

◆蔵治光一郎さんの「市民というときに排除される都市住民でない人々」へのまなざしには
  深く共鳴するものがありました。(岡田)

(文責:第1領域1-A「日本型地域ネットワークと地域通貨」研究グループ長 岡田真美子

2006/03/05 11:51:41更新