日本学術振興会人文・社会科学振興プロジェクト

第1領域日本的知的資産の活用研究プロジェクト

「日本文化の空間学」「日本型地域ネットワークと地域通貨」共催講演会

豊後高田・別府ワークショップ

○ 日時 平成17年12月2日(金) 19:00〜21:00

 ○ 場所 ラッセホール5階 コスモスの間         

   http://www.lassehall.com/accsess/

 ○ 講師 山縣然太朗 山梨大大学院教授         

      「山梨県の長寿の秘訣」         

   http://www.pref.yamanashi.jp/barrier/html/chouju/94324068888.html

   ○企画運営 兵庫健康コミュニティ研究会(財 地域政策研究機構助成)竹村英樹、松田竜一さん

 9月の講でお話した健康寿命日本一の山梨県から、
県の健康寿命実態調査分析研究会委員長として、
「無尽」など社会ネットワークと健康寿命の
有為な関係を明らかにされた、
山縣然太朗・山梨大大学院教授に来神いただき、
お話を伺いました。

(竹村、松田、久戸瀬県庁グループの企画です。)

 「無尽」や「ボランティア」と健康との関係 
日本の伝統システムを、
最先端の医学・健康政策に生かそうとする
山梨の取り組みをお伺いして大変有益でした。
県の健康関係部局からも職員の方々が多数参加されました。

 【山縣先生のお話から】

■「無尽もただ参加するというのではなく、

 楽しみに参加していることが必要です」

■無尽は「社会的ネットワーク」のひとつ
■ほうとう を食べる人が長生き。

      ほうとうは「個食」でない!人と食べる

      自分で料理したものである。ということ。 

■保健師の数と健康寿命との間に正の相関がある。

  医師とはない。

■主観的健康度を高めることを目指す
■生甲斐は自分の楽しみであることが大切
■Don't do ではなく、Let's do

 【質疑の時間】

□こういう取組みをこれから始める県はなにからやったらよいか?
  (保健師 岡田さん)
−いかにして住民を主体とするかということがキーになるだろう
□大学はどのように地域と関わっているか
−教育学部、工学部は地域と深く関わってきたが個人的であった
  こんどは調査だけで終わるのではなく、その結果から次の策、次の策と繰り出してゆけるか
  と質問して、できるという答えを得て始めた。
□山梨県気質と今度の結果と関係があるか(横山さん)
−落ち着ける、というのは地域の閉鎖性と関係があるのかもしれない。
□地域のなかでの連帯の再構築には?(木村局長)
−地域をもう少し広く考えてもいいのかな。隣近所じゃなくても。ソーシャビリティをどう持ってゆくか
□疫学的手法について教えてください(久戸瀬さん)
■時間性(結果は原因のあとにある)
  強固性(総体危険が高い)
  一致性(異なる地域で一致)
  整合性(異なる実験間で一致するか)
  特異性(結核の人は結核菌がある)
 
このなかでもっとも大切なのは時間性であるこのなかでもっとも大切なのは時間性である。

 県庁内研究会代表 竹村英樹さん 兵庫県理事 清原桂子さん 

 

終了後 新神戸オリエンタルホテルで

信州大学の社会学の美人先生を交えて松本の介護者を癒す試みなどを伺い大変刺激を受けました


竹村メモ 健康寿命と無尽

   さる12月2日、疫学的手法を用いて、健康寿命の延伸と社会的ネットワークの関係を明らかにされた山縣全太朗・山梨大学医学部教授を招き、人社プロ関係者並びに県庁関係職員も交え、学習会を開催した

  1 講演要旨                             

   山梨県は、健康寿命が日本で一番長い。

    65歳以上の高齢者600人を対象に1年間追跡調査を行い、生活活動

能力(ADL)が維持されたグループと低下したグループの要因を分析。

      社会との関わりや人間関係が健康寿命延伸に関与していることが判明。

      具体的には、

       @ボランティア団体などに3個以上加入している層は、そうでない層

        に比べ、2.4倍ADLが維持されていた

        A旅行仲間がいる層は3.1倍、悩み相談の相手がいる層は2.3倍、

        それぞれADLが維持されていた。

       B特に「無尽」を楽しみにしている人とそうでない人の間には、ADL

維持に6.7倍もの差があった。

        C我が家自慢の「ほうとう」をたくさん食べる人ほど、健康が維持され

ていた。

       D人口あたりの保健師の数は、健康寿命の延伸と正の相関関係にある。

  2 山梨県の介護予防事業

    分析結果をもとに、山梨県では、「地域のつながりと生きがい」を介護予防

   の柱の一つとし、舞踊や詩吟、美術などの生涯学習活動を健康づくりにも位置

   づけ、健康部局と文化部局が一体となった取り組みを展開している。

   

  <12月2日主な県関係出席者>

     清原理事、木村地域協働局長、大西健康財団常務、中野健康増進課長、中塚政策担当課長、

   その他兵庫県立大学関係者、保健所の保健師など約30名出席 

  人社講メンバは大坪、岡田、久戸瀬*、合田、古賀、竹村*、中塚*、藤田、松田*

(c) 2005Prof. Dr. OKADA Mamiko 2005/12/02 23:08:00更新