日本地域通貨懇話会

期日  平成16年6月23日 10:00〜13:00

場所  さわやか福祉財団 会議室


(財)さわやか福祉財団 理事長 堀田 力さんから

「申すまでもなく地域通貨につきましては、いろいろな考え方、思いがありますが、この機会を通じてお互いの立場を尊重しながら、それぞれの地域通貨がより活用されるように情報を交換し、可能であれば提言もできればと念じております」

というご案内をいただき出かけました。ひとつ外側の大きな世界を見たような思いがします。


1) 堀田理事長さんのご挨拶

  懇話会開催の趣旨説明

  今回私たちが目指してはいけない事 

  (1) 通貨それぞれの多様性、独自性を否定すること

  (2) 通貨間の優劣を論ずること

  (3) 誰かが統括すること


2) 出席者紹介

堀田 力 さん(さわやか福祉財団

森野 栄一さん( ゲゼル研究会

ヘロン久保田 雅子 (Time Dollar Network Japan代表)

泉  留維さん( 専修大学経済学部 講師

丸山 真人さん(東京大学教授 総合文化研究科 国際社会科学)

村山 和彦さん( 地域通貨「ピーナッツ」

加藤 敏春代表代理 山口事務局長さん( エコミュニティネットワーク

岡田 真美子 (NPO千姫プロジェクト


3)  出席者 それぞれの活動の特徴、IT化について、ネットワーク化、行政とのかかわり方

堀田力さん さわやか

自助が基本→共助→公助。共助の部分を何とかしたいとおもって財団を立ち上げた。

「たすけて」がいいやすい仕組みとして地域通貨を考えた

森野栄一さん堀田さん、森野さん、ヘロンさん

「お互い様がどこでも根底にある。地域発生の地域通貨はボトムアップである。これとトップダウンの行政とがどうコラボレートするか 

@個人対個人A生身の人間とITシステムとのインターフェースをどうするかB

情報センタの意義:問い合わせに対する情報提供をしてもらえるとありがたい。

ヘロン久保田雅子さん

カーン博士の『世の中に役に立たない人はいない』が突破口になった

ネットワーク化についてはタイムダラーはすでにすすんでいる。アメリカのTimeDollarとイギリスのTimeBankが提携する。

ヘロンさん、泉さん、丸山さん支援センター的要素が必要。この問題ならだれに頼めばいいか、を振り分けてもらうようなしくみがあればいい。

泉 留維さん

研究者としてどう取り組むか。アンケートのあり方を反省。安易にIT化をしない。

学生が市民活動にかかわる入り口としての地域通貨。

丸山真人さん

マルクス経済→経済人類学→カナダ留学。Let'sと知り合う→歩いてカナダの通貨をフィールドワークしている。

村山和彦さん(ピーナッツ)斉藤さん、、村山さん、山口さん

専門の都市計画は分母が人口。これからの常に敗者のいる社会で何が必要か?互助である。

マーケットに対して設計するのではなく、需要と供給を直接ぶつけることが必要。それで見つけたのがLet'sである。

商業で成功が見られてきたが、農業がのっかるのが目的。

500万円かかる家の改築の200万円分をピーナッツでというので注目された。

地域通貨は通貨制度を混乱させるというので行政から禁止される時期に差し掛かるだろう。

Let's交換リング型地域通貨 ピーナッツ。味噌もくそも一緒くたのネットワークはいや。モデルをつくるのは反対。

IT化には賛成。管理費合理化のため。入会金ゼロを維持するため。軽いシステムでバックアップを頻繁に取る。(賛成!)

行政にはセキュリティガードを行政がしてくれることを求める。

エコミュニティネット 加藤代表代理山口事務局長

商店街の地域社会とのかかわりと長く取り組んできた。その線上でエコマネーと会った。

千姫プロジェクト

千姫のめざすところ:セーフティーネットづくり。にんげんまんだら。環境問題は関係性の問題。まさかのときの千姫頼み。

特徴:@なんでもありの千姫 A現金をなるべく使わないコミュニティを目指すNPO BIT。ネットバンキング。ITできないひとは?IT出来るように手伝ってくれる人を募集する。ITできる友達を探す。最初からITであった。発足当初からだれにでもできるということは目指していない。

受給のマッチングはメニュー表、掲示板という正規マッチングとゲリラ的マッチング。(今日ここで考えた「市場をしようか。」)

ネットワーク化:千姫APS。千姫型モデルの配布ではなく、ネットバンキングのオンライン化だとおもってほしい。森野さんの情報センタの意義に共感。データバンクをつくる。どんどん自分たちで登録して行けたらいい。よくある質問など。手紙や電話ファックスでもそのデータがもらえる。というようになるといい。

行政との協働:地域ビジョンとのリンク。産学官民がすべて個人として参加するという協働の仕方。行政は人を出す。場を提供する。事務局機能支援を。


(4)  出てきた課題の整理

    予想される課題:地域通貨の線引き

  森野さん

   公序良俗に反するもの:ねずみ講式ビジネスに地域通貨を使おうとしている会社がある。

   対行政ビジネスに用心せよ。 慈悲無尽講(国東半島 三浦梅園)に参加した村役人のスタンスを学ぼう

  村山さん 

   通用するもの自体に価値のあるものはやりとりしない

   自動車が買える地域通貨は偽札だ。

  丸山さん

   サービスで取引されるものは地元で作られたもの。全国的な製品のdistributeを手伝うのではない。

   現金で置き換えられないものがなければ地域通貨でない。

   横流しでなく循環するマネーである

(A) 情報センターの問題(上記参照)

(B) フォラーム開催

   見本市方式/国体方式はどうか(森野さん) ブースとパネル。

   千葉からはじめたら?(丸山さん) 堂本知事を巻き込んで。

(C) 行政に対する政策の場

  村山さん 将来規制しなければならないものに助成金を与えるな

(D) 海外交流の拠点

(E) 運営団体へのアドバイス

(F) 地域通貨の電子化についての共同検討


すばらしく内容の充実した懇話会でした。談論風発のみなさんと、堀田さんが時々される鮮やかな交通整理の兼ね合いが印象に残ります。

オブザーバに地域通貨全リストの徳留さんがいらっしゃいました。スリムでタイトな風貌に似合ったシャープな思考と、とてもあたたかな御人柄に感じ入りました。

財団では、学生時代に御世話になった大家さんちの御嫁さん「さとっぺ」さんにお会いできて、感激。マンションには今も大家さんは健在でいらっしゃるそうです。ぜひ次に上京したら会いに行こうっと。


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